【排水分析】排水の凝集沈殿とは?分離方法とその仕組みについて
排水を公共用水域に排出する事業場では、水環境を保護するために排水処理を行う必要があります。
排水処理には、有機・無機を問わず汚濁物質を水と分ける分離方法と無害な物質に変える分解方法があります。
分離方法にはろ過、比重差、凝集など、分解方法には活性汚泥法などがあり、排水の性質に適した方法を選択または併用し処理が行われます。
そこで今回は、分離処理方法の一つである凝集沈殿法についてご紹介したいと思います。
凝集沈殿について
排水中に懸濁(けんだく)している粒子は、大小様々な不溶性物質が存在しています。
粒子径が約10µmまでの物質なら自然沈降などで分離できますが、1µm以下の粒子は自然分離できません。
そこで、自然沈降させるために粒子径を大きく重くして分離を助ける方法が凝集沈殿法です。
微小浮遊粒子は負に帯電しているものが多く、相互に反発して分散状態を保っています。
ここに正電荷をもつ物質を加えて中和すると、相互反発力が弱まり塊になります。
このように水中に懸濁している粒子を沈殿分離する方法を凝集沈殿法と呼びます。
この時、塊(フロック)にする薬剤を凝集剤といい、そのフロックを更に大きくするために凝集助剤が使われます。
これらを総合して凝集剤といいます。
凝集剤について
凝集剤には様々な種類がありますが、今回は代表的に使用される凝集剤についてご説明します。
硫酸アルミニウム
排水に硫酸アルミニウムを加えると、水中の塩基と反応して水酸化アルミニウム水和物を生じます。
中性では正電荷を帯びているので負に帯電している懸濁物質と中和して凝集を起こします。また、凝集助剤としての役割も果たしフロック生成を促進します。
凝集効果を十分に発揮するためには、排水の種類に応じた適切な凝集剤を選択し、その添加率やpHを最適にしなければなりません。
ポリ塩化アルミニウム(PAC)
ポリ塩化アルミ二ウムは、昭和40年代以降に急速に普及した凝集剤です。
PACも硫酸アルミニウムと同じ様な作用をする凝集剤です。
PACは硫酸アルミニウムよりも凝集効果が高いため、添加量が削減できるという利点があります。また、薬剤のpHが硫酸アルミニウムに比べると中性に近いため中和に必要な薬剤も少なくて済みます。
最後に
今回のブログでは、凝集沈殿と代表的な薬剤についてご紹介しました。
当社では、水道用薬品類の評価のための試験方法ガイドラインに沿って凝集剤の評価を行っています。また、排水処理設計業者から凝集沈殿模擬テストをご依頼いただいた実績もあります。
凝集剤の評価や模擬試験等に関するご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください!