【令和3年4月1日スタート!】金属アーク溶接等作業について行わなければいけないことについて

アーク溶接 8月告示文

「溶接ヒューム」について、労働者に神経障害等の健康障害を及ぼすおそれがあることが明らかになったことから、労働者へのばく露防止措置や健康管理を推進するため、労働安全衛生法施行令、特定化学物質障害予防規則等が改正され、新たな告示が制定されました。

対象となる物質

「溶接ヒューム」(金属アーク溶接等作業において加熱により発生する粒子状物質)が新たに特定化学物質(管理第2類物質)として位置付けがされました。

※金属アーク溶接等作業とは

  • 金属をアーク溶接する作業
  • アークを用いて金属を溶断し、またガウジングする作業
  • その他の溶接ヒュームを製造し、または取り扱う作業(燃焼ガス、レーザービームなどを熱源とする溶接、溶断、ガウジングは含まれません)

以上3つの作業を金属アーク溶接等作業としています。

そこで今回は、金属アーク溶接等作業場について行わなければならないことについてご紹介したいと思います!

金属アーク溶接等作業場について行わなければいけないこと

1. 金属アーク溶接等作業を行う屋内作業場については、溶接ヒュームを減少させるため、全体換気装置による換気の実施または同等以上の措置を行うこと

2. 金属アーク溶接等作業を行う屋内作業場にて新たな作業方法を採用、または既存の作業方法を変更する場合には、個人サンプリング方法による濃度測定を行うこと

個人サンプリング方法とは、作業者個人にサンプラーを装着してそのばく露濃度を測定する方法です。

着想フォト

上記のような採取装置を測定日に作業者が金属アーク溶接等作業に従事する全時間装着して測定します。

※均等ばく露作業ごとに2人以上の測定が必要です。作業者が1人の場合、最低2日間の測定が必要になります。

この測定の結果に応じて、換気装置の風量を増加するなど、必要な措置を行い、再度測定を行います。

測定結果は金属アーク溶接等作業を行わなくなってから3年間保存することとされています。

※令和3年4月から施行され、既存の作業場に関しては令和4年3月31日までの期間に1回、測定する必要があります。

3. 金属アーク溶接等作業に労働者を従事させるときは有効な呼吸用保護具を使用させること

呼吸用保護具は個人サンプリング方法の結果に応じて、適切なものを使用します。

また保護具が適切に装着されているかの確認を年1回行い、その結果を3年間保存する必要があります。

呼吸用保護具の選択の際には、以下の計算式により使用しているマスクの「要求防護係数」の値を求める必要があります。

要求防護係数

PFγ=要求防護係数

C=溶接ヒュームの濃度の測定の結果から得られたマンガン濃度の最大の値

この「要求防護係数」を上回る「指定防護係数」の呼吸用保護具を選定する必要があります。

また、保護具が適切に装着されているかの確認(フィットテスト)を行う必要があります。

※フィットテストとは

JIS T8150(呼吸用保護具の選択、使用および保守管理方法)により定められている方法で、呼吸用保護具の外側、内側それぞれの溶接ヒュームの濃度を測定し、測定した値を以下の計算式に当てはめ、「フィットファクタ」の値を求める方法です。

フィットファクタ

求めた「フィットファクタ」の値が「要求フィットファクタ」の値を上回っていたら良好ということになります。

要求フィットファクタ

この際に呼吸用保護具の種類が、全面形か半面形によって「要求フィットファクタ」の値が変わるため注意が必要です。

4. 金属アーク溶接等を行う屋内作業場は、床などを簡単に掃除できる構造にして毎日1回以上の掃除をすること

5. 金属アーク溶接等作業に従事する労働者について、雇い入れや配置転換及び6ヶ月ごとに1回の特殊健康診断を行うこと

特殊健康診断とは、労働安全衛生法により定められたもので、特に有害な物質を取り扱う労働者が対象となっています。

※金属アーク溶接等作業に常時従事する場合は、上記とは別に「じん肺健康診断」の実施も必要です

6.特定化学物質作業主任者の選任を行うこと

特定化学物質作業主任者は、「特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習」を修了している者から選任することとされています。

※大まかな職務内容について

  • 作業に従事する労働者が対象物に汚染や吸入をしないように、作業の方法を決定し、労働者を指揮すること
  • 全体換気装置や労働者が健康被害を受けることを予防するための装置を1ヶ月を超えない期間ごとに点検すること
  • 保護具の使用状況を監視すること

7.その他必要な措置

  • 雇入れの際や、作業内容変更時には安全衛生教育を行うこと
  • ぼろ等の処理を管理すること
  • 不浸透性の床を使用すること
  • 関係者以外の立入禁止措置を行うこと
  • 運搬貯蔵時に適切な容器等を使用すること
  • 休憩室の設置を行うこと
  • 洗浄設備の設置を行うこと
  • 作業場内での喫煙や飲食を禁止すること
  • 有効な保護具を備え付けること

以上9つのことを行う必要があります。

参考:溶接ヒュームの濃度測定からマスクのフィットテストまでのフロー

溶接ヒューム測定フロー

アーク溶接フロー

最後に

今回のブログでは、特定化学物質障害予防規則の改正点やアーク溶接作業場において対応しなければならない点にについてご紹介しました。

近年では、大きな改正になり内容も複雑になりますので、ご相談などがありましたら、お気軽にお問い合せください!