【分析項目解説!】シアン化物について

シアン

水質検査などの分析項目にシアン化物という項目があります。

シアン化物には、毒性があるものもあり、シアン化物中毒や死亡事故の原因となる危険な物質もあります。

そこで今回は、シアン化物の解説や、環境基準についてご紹介したいと思います!

シアン化物について

シアン化物とは、シアン化物イオンまたは広義にはシアノ基を含んだ物質で、炭素と窒素が一つずつ結合したものになります。

シアン化物は、シアン化物イオンが外れ(遊離)、水素イオンと結合してシアン化水素になることによって毒性を示します。

シアン化水素とは

シアン化水素とは、特有のにおいを持つ気体です。

シアン化水素の毒性は急性毒性で、体内に入ると呼吸障害が起こり、最悪の場合死亡します。

シアン化物によって、シアン化物イオンの遊離しやすさが異なります。

シアン化合物

シアン化物の用途について

シアン化物は、アクリル繊維などの化学製品の原料、電気メッキ、鉄鋼業などに使用されており、当社のような分析機関でも分析用の薬品として使用しています。

シアン化物の種類と毒性について

シアン化物には以下のようなものがあります。

1.シアン化物イオンに金属(ナトリウムなど)が結合した物質

シアン結合

シアン化物イオンが遊離しやすく、非常に強い毒性を持っています。

カリウムが結合したシアン化カリウムは、通称、青酸カリと呼ばれる有名な猛毒です。

シアンといえばプリンターの青色のインクもシアンという名前がついていますが、インクのシアンとシアン化物は全く別物です。

インクには銅の化合物が使用されているようです。

2.金属を中心としてシアン化物イオンが結合した物質(金属シアノ錯体)

中心の金属によって、シアン化物イオンが遊離しやすいものと、遊離しにくいものがあります。

亜鉛やカドミウムが中心にあるものは遊離しやすく、シアン化ナトリウムなどと同様の毒性があります。

鉄が中心にある、フェリシアン化カリウムやフェロシアン化カリウムなどの物質は、シアン化物イオンを遊離しにくく毒性は低いとされています。

ただし、強い酸性の状態になると、シアン化物イオンを遊離します。

金属シアン

3.有機化合物の中にシアノ基を含むもの

代表的なものはアクリロニトリルというアクリル繊維などの原料です。

燃焼して分解されるとシアン化水素を発生します。

また、ビワ、アンズ、ウメ、モモ、スモモ、オウトウ(サクランボ)などのバラ科植物の種子や未熟な果実の部分には、アミグダリンやプルナシンというシアン化合物が多く含まれています。

これらの物質は体内に入って分解されると、シアン化水素を発生します。

アミグダリンはがんに効果があるという説が流れ、大量に摂取して死亡した人がいるそうです。

農林水産省では、これらの果物の種子を使った食品を食べないように呼び掛けています。

参考:農林水産省「ビワの種子の粉末は食べないようにしましょう

シアン化物による中毒事故について

シアン化物を取り扱う事業場などで中毒事故が発生し、作業者が死亡するケースがあります。

その原因に共通していることは、作業者の知識不足、認識不足です。

シアン化物を取り扱う作業を行う場合、行わせる場合には、その危険性を十分に理解し、理解させ、十分な換気、局所排気装置の使用、保護具の着用などの対策を行うことが必要です。

シアン化物の環境規制について

シアン化物は、水質、土壌、廃棄物、作業環境の濃度基準などが定められています。

大気については、事故時の報告義務がある特定物質としてシアン化水素が指定されています。

また、条例によって有害物質として指定している自治体もあります。

水質、土壌、廃棄物については、毒性の強いシアン化ナトリウムから、フェリシアン化カリウムなどの毒性が低いとされるシアン化物まで対象となります。

作業環境ではシアン化水素、シアン化ナトリウム、シアン化カリウムが特定化学物質に指定されています。

飲料水についてもシアン化物の基準があります。

飲料水では、シアン化物イオン及び塩化シアンが対象となります。

塩化シアンは、水道水中に含まれるアンモニアが塩素系の消毒薬と反応して発生する消毒副生成物です。

詳細は環境省、厚生労働省のホームページなどをご覧ください。

最後に

今回のブログでは、シアン化物についてご紹介しました。

当社では水質、土壌、廃棄物、作業環境、飲料水などのシアン化物の分析を承っております。

ご相談などありましたら、お気軽にお問い合わせください。