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2020.12.07(月)

【分析機器解説!】分析機器の検出器(FID)について

FID

当社は、作業環境測定の有機溶剤測定や排ガスのVOC(揮発性有機化合物)測定を行う際にガスクロマトグラフという機器を使用しています。

※ガスクロマトグラフについてはこちらのブログを参考にしてください

ガスクロマトグラフには、FIDという有機溶剤などの分析装置で広く利用されている検出器があります。

そこで今回は、FIDについてご紹介したいと思います!

FIDの用途について

FIDは、ガスクロマトグラフやVOC分析計で有機溶剤などの有機化合物を検出したい場合に使用されています。

FIDの原理について

FIDとはFlame Ionization Detectorの略で水素炎イオン化検出器と言います。

有機化合物を水素の炎で燃焼させると、その一部が分解されてイオンが発生します。

このイオンによって発生する電流を測定して、有機化合物の濃度を測定するものです。

有機化合物の量が多いほど、さらに含まれる炭素の数が多いほど発生する電流が多くなります。

FIDの構造について

FIDは分析サンプル、水素、助燃ガス(高純度空気)の配管、ノズル、コレクター、電流計測部で構成されます。

FIDの構造

まずノズルの出口に点火して水素炎を発生させ、そこに分析サンプルを導入して、熱分解により発生したイオンがコレクターに捕集され、電流が計測されます。

実物の写真

FID

FIDの特徴について

・濃度計は濃度と測定値とが比例関係であることが必要

FIDは有機化合物に対して低濃度から高濃度まで幅広い範囲で、濃度と測定値の間に直線的な比例関係があります。

FIDの特徴

・同じ種類の有機化合物であれば、含まれる炭素数に比例した測定値が得られる

例えば、炭素を6個含んだヘキサン100ppmと、3個含んだプロパン100ppmをそれぞれ測定しますと、ヘキサンの方がプロパンの2倍の値を示します。

そのため、炭素濃度の測定が必要なVOC分析計に利用されています。

・検出感度そのものが有機化合物の種類によって異なる

アルコール類や酢酸エチルなどは感度が低く、ほとんど検出できない有機化合物(ホルムアルデヒド、四塩化炭素など)もあります。

このことは、上記の特徴とあわせて、物質ごとの濃度を求める場合には標準物質との測定値の比較が必要であることを示しています。

・炭素化合物であっても二酸化炭素などの無機化合物は検出しない

そのため、燃焼ガスなど多量の二酸化炭素を含んだサンプルでも影響を受けずに有機化合物の分析が可能です。

・サンプルに酸素が含まれていると、有機化合物が二酸化炭素と水に分解される反応が起こり、イオン化される割合が変化する

ガスクロマトグラフでは窒素ガスやヘリウムガスなどでサンプルを流し、分離カラムで成分を分離しますので影響はありませんが、VOC分析計では空気をそのまま分析しますので、酸素の影響を避けられません。

そこで、各VOC分析計のメーカーでは、装置の構造やガス流量などを工夫し、VOC排出規制に対応した性能を確保しています。

最後に

今回のブログでは、ガスクロマトグラフやVOC計で用いられる検出器(FID)についてご紹介しました。

当社では、作業環境測定の有機溶剤測定や排ガスのVOC測定を行っております。

ご相談などありましたら、お気軽にお問い合わせください。

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