【分析項目解説!】ヒ素(砒素)の毒性と環境規制について
2018年に宮崎県の霧島連山が噴火し、火山からの流出物で付近の川が汚染され、水質検査の結果、高濃度のヒ素が検出され、農業に大きな被害を及ぼしました。
しかし、ヒ素とは何か?どのような影響があるのか、わかりにくいと思います。
そこで今回は、ヒ素の解説と、環境規制についてご紹介したいと思います。
ヒ素について
ヒ素は地殻中に広く存在する半金属(金属と非金属の両方の性質を持つ元素)です。
主に火山活動によって大気に放出され、大気、水、土壌中に分布しています。
また、火力発電、金属精錬、廃棄物の処理などによっても大気中に放出されます。
尾張地方は地下水のヒ素濃度が高いことで知られていて、愛知県の地下水の調査でも環境基準を超える地点がほぼ毎年見つかっています。
参考:愛知県「愛知県の河川、湖沼、海域、地下水などの状況」
かつては農薬に使用されていましたが、現在では製造、販売、使用ができません。
一方、毒物ではありますが半導体(IC、発光ダイオードなど)の製造には必須のものでもあります。
ヒ素の毒性について
ヒ素の急性毒性としては、発熱、下痢、嘔吐などが起こり、死亡する場合があります。
慢性毒性としては、皮膚炎、色素沈着、神経障害、腎臓障害などが起こります。
また、IARC(国際がん研究機関)によってグループ1(人に対する発がん性が認められる)に分類されています。
食品中のヒ素について
ヒ素は自然界に広く存在するため、食品中にもヒ素が含まれることは避けられませんが、人為的な汚染がない限り問題になるレベルではありません。
外国ではヒ素を多く含むヒジキを食べないように勧告している所もあります。
これに対し厚生労働省は、ヒジキのヒ素による健康被害の事例がなく、極端に多く摂取しなければ健康上のリスクが高まることはないという旨の見解を示しています。
ヒ素の環境規制について
ヒ素及びヒ素化合物は、水質、土壌、廃棄物の濃度基準があります。
大気については、大気汚染防止法において有害大気汚染物質の優先取組物質に指定されています。
また、土壌汚染対策法では、人為的な原因によるヒ素汚染だけでなく、自然由来のヒ素汚染も対象となります。
労働安全衛生法においては、特定化学物質障害予防規則の第2類物質に指定されています。
詳しくは環境省、厚生労働省のホームページなどをご覧ください。
最後に
今回のブログでは、ヒ素の解説と、環境規制についてご紹介しました。
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ご相談などありましたら、お気軽にお問い合わせください。