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2020.12.02(水)

【コラム記事】マイクロプラスチックとは?

マイクロプラスチックとは

先日、食品保存用ラップから見える環境問題についてご紹介しました。

※食品保存用ラップから見える環境問題についてはこちらのブログを参考にしてください

そのブログで、「マイクロプラスチック問題」というのがあることを取り上げました。

そこで今回は、マイクロプラスチック問題についてご紹介したいと思います!

マイクロプラスチックについて

マイクロプラスチックとは、読んで字のごとく極小のプラスチックのことで、広く使われている定義では5mm以下のプラスチックのことを指します。

小さなものは数マイクロメートルのものも含まれます。

マイクロプラスチックは、大きく分けて「一次マイクロプラスチック」と「二次マイクロプラスチック」の2種類に分類されます。

「一次マイクロプラスチック」とは

一次マイクロプラスチックとは、プラスチック製品の原料となる米粒大のプラスチック粒(レジンペレット)や、洗顔料・歯磨き粉といったスクラブ剤などに利用される小さなプラスチックのことで、主に家庭の排水溝などから下水処理を通り、海へと流出されます。

一度流出すると回収はできず、製品化された後の対策は難しいとされています。

「二次マイクロプラスチック」とは

二次マイクロプラスチックとは、環境中に排出されてしまったプラスチック製品が外的要因で劣化・破砕されてマイクロサイズになったもののことをいいます。

こちらはごみの発生を抑制し、マイクロ化する前であれば、ある程度の対策も可能と考えられます。

環境中に排出されてしまったプラスチック製品というと、街角や川、海に見られるビニール袋やペットボトルといったゴミを想像しますが、決してそれだけではありません。

タバコのフィルター、最近では不織布マスクもよく見られます。

知らず知らずのうちに排出されているものとして、化繊の衣服(フリースなど)を洗濯したときに出る繊維くずや、タイヤの摩耗、漁業用具(ブイや網)が意図せずに破れていたり流れていたり、考えだすときりがありません。

マイクロプラスチックの影響について

1.化学的な影響

プラスチックに使われる添加物には有害性が指摘されるものもあり、マイクロプラスチックになっても残留します。

加えて、プラスチック自体も化学物質を吸着しやすいといった特性があります。

これが生物や人体に取り込まれるとどんな影響を及ぼすか分かりません。

食物連鎖によって私たち人間の健康にも影響することが懸念されています。

2.物理的な影響

小魚がプランクトンと間違えて飲み込み消化できずに栄養失調の原因になったり、大型魚類の場合だと、プラスチックが消化器官が詰まったり消化器官の内部がプラスチックで傷つけられてことが懸念されています。

実態の調査について

それではこのマイクロプラスチックは現在環境中にどのぐらい存在するのでしょうか?

残念ながらこの問題は研究が始まったばかりで、(2004年のサイエンス誌に「Lost at Sea: Where Is All the Plastic?」というタイトルの論文が出てからで、広く認識し始めたのはここ数年前のこと)まだまだ実態が把握されていません。

もっと言うと、生態系への影響についてもまだまだその一部が証明され始めているにすぎません。

マイクロプラスチックの最も厄介な点は、その小ささゆえに回収が難しいという点です。

環境中に排出されたマイクロプラスチックは流れ流れて海に集まってきていると考えられますが、海は広大で常に海流や波などにより流動しています。

その中で小さなマイクロプラスチックの調査をすることはとても困難なことであることは容易に想像できます。

日本政府の対応について

日本政府は次のようなアクションプランを発表しています。

  • プラスチックごみの回収・適正処理の徹底やポイ捨て・不法投棄、非意図的な海洋流出の防止
  • 環境中に排出されたごみの回収
  • 海洋生分解性プラスチックや紙等の開発や、素材転換などの技術革新・日本の技術等を活かし、途上国等の海洋プラスチックごみ問題に貢献していく
  • 世界的に海洋プラスチック対策を進めていくために実態把握や科学的知見を充実させる

今、私たちができることについて

マイクロプラスチックを削減するためには、プラスチック自体を少しでも減らしていくことが重要となります。

そのためには、

  • ごみを減らす。3R(Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル))の徹底
  • 「使い捨て」のものはできるだけ買わない、もらわない
  • ごみを正しく廃棄する。ポイ捨てなんてもってのほか
  • できるだけ包材の少ない商品を選ぶ
  • プラスチック製品よりもできるだけ木・紙・金属など他の分解されやすい素材でできた製品を選ぶ

など小さなことかもしれませんが身近にできることはたくさんあります。

最後に

いかがだったでしょうか?

今回のブログでは、マイクロプラスチックについてご紹介しました。

プラスチックそのものは決して悪いものではありません。

むしろ私たちの生活に恩恵をもたらしてくれるものとも言えます。

我々の生活でプラスチックがない世界は想像できません。

汚染の実態、生態系への影響など、まだまだ未知の部分が大きいですが、長期的な問題になることは明白です。

私たちの子孫のためにも今私たちができることから手を付けていく必要があります。

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