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【分析項目解説!】「リン化合物」「有機リン化合物」とは?環境基準と排水基準について

リン化合物について

リンは私たちの歯や骨、エネルギーの元になる物質を作るために必須の元素で、植物の肥料としてもとても重要な元素です。

しかし、一部のリン化合物には毒性の強いものがあり、湖沼、海域の富栄養化の原因ともなる物質です。

そのため、リン化合物には基準が定められています。

そこで今回は、リン化合物と有機リン化合物の環境基準、排水基準などについてご紹介したいと思います!

まず、リン含有量についてご説明します。

リン含有量について

湖沼、海域の富栄養化の防止を目的とした項目で、「全リン」などとも言われます。

リンを含む物質全てが対象になり、基準値は以下のようになっています。

リンの基準値

排水基準は、1日の排水量が50m³以上の特定事業場で、植物プランクトンの著しい増殖のおそれがあるとして環境大臣が定める湖沼、海域及びそこに流入する河川に排出する排水に適用されます。

当社がある愛知県では伊勢湾、三河湾、黒田ダム貯水池などが指定され、ほぼ全域が対象となります。

次に有機リン化合物についてご説明します。

有機リン化合物について

リン化合物の中で、人の健康被害防止を目的とした項目です。

有機リン化合物とは、一般的にはリンを含んだ有機物の総称で、たくさんの種類があり、農薬、殺虫剤、難燃剤などに利用されています。

しかし、以下の法律で次の4種類が規制の対象とされています。

  • パラチオン
  • メチルパラチオン
  • メチルジメトン
  • EPN

リンの法律・規制これらは毒性が強い殺虫剤で、現在、EPN以外は製造、使用が禁止されていますが、水質汚濁に関する環境基準は定められていません。

その理由として、当初はこれらにも水質汚濁に関する環境基準が定められていましたが、平成5年に環境中から検出されなくなったことで、環境基準の項目から削除されました。

しかし、EPNは要監視項目として残っています。

要監視項目について

要監視項目とは、人の健康の保護に関連する物質ではあるが、公共用水域等における検出状況等からみて、直ちに環境基準とはせず、引き続き知見の集積に努めるべきものとして指定された項目で、指針値が定められています。

有機リン系殺虫剤

有機リン化合物としては、次の有機リン系殺虫剤が規制と対象とされています。

有機リン系殺虫剤

リン化合物の基準は、これらのほかに、食品衛生法による食品製造用水の有機リンの基準、水道法の水質管理目標設定項目の農薬類の目標値があります。

食品製造用水の水質基準について

食品の製造などに使用する水は、食品衛生法に基づいた食品製造用水を使用する必要があります。

食品製造用水とは

水道法に基づいた水道事業者から供給される水道水、または食品、添加物の規格基準に適合する水のことをいいます。

参照:厚生労働省「食品、添加物等の規格基準

愛知県では愛知県食品衛生条例により、井戸水などを食品製造などに使用する場合には、年1回以上の水質検査を行い、結果を2年間保存することが義務付けられています。

検査項目は26項目あり、そのうち有機リンの基準は0.1㎎/L以下となっています。

水質管理目標設定項目とは

水質管理目標設定項目とは、水道法において、

  • 毒性が不明確なもの
  • 現状では微量だが濃度が増加する可能性があるもの

など、水質管理上留意するべきものとして設定された項目になります。

検査項目は27項目あり、そのうちの「農薬類」に114種類の農薬類が指定されています。

参照:厚生労働省「水質基準項目と基準値(51項目)

最後に

今回のブログでは、リン化合物と有機リン化合物についてご紹介しました。

当社では、水質、土壌、廃棄物などの有機リン、リン含有量の分析を行っており、肥料などの栄養成分としてのリン含有量の分析も可能ですので、ご相談などありましたら、お気軽にお問い合わせください!

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