【コラム】石炭火力発電は何が問題なのか?
経済産業省は7月2日、低効率石炭火力発電所を2030年度までに段階的に廃止する方針を明らかにしました。
国内にある石炭火力発電所計140基のうち、低効率のものから約100基が対象になるとみられます。
経済産業省「非効率石炭のフェードアウト及び再エネの主力電源化に向けた送電線利用のルールの見直しの検討について」より参考
では、国はなぜこのような方針を打ち出すことにしたのでしょうか?
それは、2016年に発効した気候変動問題に関する国際的な枠組み「パリ協定」において、長期目標として「2℃目標」が設定され、今世紀後半にはCO2の排出量と吸収量をバランスさせることが定められたことから、日本も何らかの対応を取らなければならなくなったからです。
しかしこのような措置も、昨年のCOP25で日本は不名誉な化石賞を頂戴するほどであったことからすると一歩前進ですが、「パリ協定」の目標を達成するにはまだまだ物足りないと言われています。
では次に、石炭火力発電がなぜ良くないと言われているのか考えてみたいと思います。
石炭火力発電が良くないと言われている理由とは
それはほかの発電方法と比較して環境負荷が大きい発電方法だからです。
特にここでは二酸化炭素CO2排出量に注目して比較したいと思います。
1kWh当たりのCO2排出量
現在導入が進んでいるLNG火力発電(コンバインドサイクル)と比較すると、石炭火力発電は2倍以上のCO2を排出します。
※LNG火力発電(コンバインドサイクル)とは、LNGガス(液化天然ガス)を使用して発電する方法です。
ではなぜ日本は石炭火力発電を全廃しようとしないのでしょうか。
石炭火力発電を全廃しようとしない理由とは
それは日本にとって経済的にもエネルギー安全保障上でも数多くのメリットがあるからです。
石炭は、ほかの化石燃料(石油など)にくらべて採掘できる年数が長く、また、存在している地域も分散しているため、安定的な供給が望めます。
また、原油やLNGガスにくらべて価格が低めで安定しており、LNGガスを使った火力発電よりも、低い燃料費で発電できます。
そこで技術先進国である日本は、クリーンコールテクノロジーという技術で石炭火力発電のデメリットを克服し、適切な利用を検討していくものと思われます。
※クリーンコールテクノロジーについてはこちらの記事を参考にしてください
最後に
いかがだったでしょうか?
今回のブログでは、石炭火力発電についてご紹介しました!
今後も、環境に大きく影響のある石炭火力発電について注目したいと思います。