【溶接ヒューム測定】実際の測定現場の様子について
こんにちは。分析担当者です。
いつもブログを見て頂きましてありがとうございます。
わたくしは普段、現場で捕集された溶接ヒュームのろ紙を受け取り、当社の分析室にて前処理やICP質量分析法による分析を行っております。
先日、勉強のために溶接ヒュームの測定現場へ同行し、実際にどのような点に注意して測定や記録を行っているのか見学して参りました。
※以前金属アーク溶接作業の測定の様子について紹介したブログがございます。よろしければ参考にご覧下さい。
そこで今回は、報告書を作るために必要な記載項目をもとに、溶接ヒューム作業場における測定の様子をご紹介したいと思います。
報告書について
報告書の測定結果には、測定した溶接ヒューム濃度の最大値と、それに基づいて計算された要求防護係数(マスクの選定時に必要となる数値)を記載し、基準値(=0.05)を超えた場合には作業環境の改善、また基準をクリアしている作業場へは維持に努めて頂くよう結果の値に応じたフィードバックを行っています。
また、報告書には最大値だけではなく、測定対象者全員の作業の様子や、捕集時間などを記載しています。
ヒューム測定対象者は2名(1名の場合、2日間測定)です。
2名以上溶接同じような溶接作業者(均等ばく露作業)がいる場合には、対象者を選んでいただきます。
ただし、同じ作業場であっても、溶接の種類が異なれば、種類ごとの測定が必要となります。
アーク溶接の種類(例)
- 被覆アーク溶接
- MAG溶接
- ミグ溶接
- ティグ溶接
- その他(炭酸ガス溶接など)
測定の際の現場での確認事項・ポイントについて
1.溶接の種類・母材はなにか
溶接の種類が異なると、ヒュームの発生量、作業者へのばく露量も変わるので、どの種類の溶接をおこなっているか確認します。
また、合わせて使用している母材(軟鉄・素鋼・ステンレス・非鉄金属など)も確認します。
さらに、溶接関連作業で研磨などを行う場合、採取器が目詰まりを起こす恐れがある為、どのような作業を行っているかヒアリング・観察します。
2.個人サンプラーの正しい取り付け
個人サンプラーは作業者の呼吸域に装着する必要があります。
呼吸域とは
作業者が使用する呼吸用保護具の外側で、両耳を結んだ直線の中央を中心として、半径30㎝の顔の前方に広がった半球の内側を言います。
この呼吸域に装着できない場合は、呼吸域にできるだけ近い位置に装着することとされています。
また、サンプラーを吸引するポンプは下記写真の様にベルトに固定、またはウエストポーチを用いて取り付けします。
3.作業場の様子:作業員の状況や、換気状況など
溶接ヒュームの発生源を特定や、拡散状況を確認し記録します。
また、作業者の行動範囲として溶接作業台から離れて動き回ったり、溶接作業以外の作業を兼業していないかなどを観察します。
また、図面を基に出入り口や、窓の開閉状況、換気扇、扇風機、ドラフト(局所排気装置)の稼働状況や様子(どの方向から風が発生しているか→で記録)などを確認し、併せて複数地点での風速や天気、温度、湿度を測定します。
実際の図面
最終的に、これら現場での状況観察と分析値を合わせて報告書にします。
最後に
今回のブログでは、溶接ヒュームの測定現場の様子をご紹介しました。
私自身、現場への同行を通じ、実際の作業場での測定の様子を知ることができ、測定から分析、報告書での結果報告への流れを具体的にイメージすることができたとても貴重な時間となりました。
溶接ヒューム測定についてご相談などがありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。