【溶接ヒューム測定】濃度低減措置について
令和3年4月より、金属アーク溶接等作業から発生する溶接ヒュームを規制する特定化学物質障害予防規則(特化則)において、個人ばく露濃度測定が義務付けられています。
しかし、溶接作業をメインの仕事として行っている事業所では基準未満となるのはなかなか難しいかと思います。
そこで今回は、「濃度低減措置」についてご紹介したいと思います。
溶接ヒュームの濃度低減措置について
溶接ヒュームの濃度低減措置として厚生労働省の改正特化則に関するリーフレットでは「換気装置の風量の増加その他の措置」と書かれています。
※参考:厚生労働省「作業を継続して屋内作業場で行う皆さまへ」
全体換気装置の風量増加は狭小な作業場において、作業時間の増加によりヒュームが作業場内に籠り、気中濃度が上昇する環境では大きな効果を期待できます。
集じん機や局所排気装置は発生したヒュームを吸引することができるため、非常に有効な手段となります。
しかし、溶接作業においては作業位置の風速が強すぎるとシールドガスがうまく機能しなくなり溶接不良が起きるなど、作業自体が成り立たなくなる場合があります。
発生したヒュームを拡散する前に吸引する点では、優れた方法ではありますが、導入する際にはコストや作業性など検討が必要です。
溶接ヒュームの濃度低減措置の事例紹介
当社の顧客で、溶接ヒュームの濃度低減措置を行っている事例をご紹介いたします。
製品の大きさや作業場のスペースなど、様々な要因があるため、どの事業所でも使えるわけではないですが、参考になればと思います。
事例その1
作業者の方に向けて送風機を設置し、呼吸域にヒュームが滞留することを防いでいます。
製品に直接送風機の風を当てると溶接不良が起きてしまうため、作業者に向け風を当て、濃度低減を図っています。
事例その2
作業位置から作業者と反対方向に向けて送風機を設置し、作業者方向へヒュームが拡散しない様にしています。
どちらの方法もヒュームのばく露が減少しているのが目視でも確認できました。
両方法とも、有効な措置ではありますが、送風機の下流方向にヒュームを飛ばしてしまうため、他の作業者との位置関係や掃除の範囲、気流の出口を作るなどは留意する必要があります。
事例その3
集じん機を置いて、溶接ヒュームを吸引し、拡散を抑えています。
作業性など注意は必要ですが、発生源付近で吸引するため、周囲への溶接ヒュームの拡散も少なく、掃除も楽になります。
集じん機というと価格が100万円以上するイメージがありますが、上記写真のようなタイプですと、数十万円台で販売されています。
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最後に
今回のブログでは、「濃度低減措置」についてご紹介しました。
濃度低減措置は各事業所に合うものを行う必要があるため、十分な検討をしてから行っていただく必要があります。
測定や環境改善に関するご相談、質問等ありましたらお気軽にお問い合わせください。