【作業環境測定】マンガンの測定方法、管理濃度が変わります
今まで、マンガンおよびその化合物の含有量が1%を超えるものを取り扱う作業において、作業環境測定が義務づけられていましたが、塩基性酸化マンガンは対象外とされていました。
しかし、今回の法改正で令和3年4月1日からは、塩基性マンガンも規制対象となり測定方法、管理濃度が変更されます。
そこで今回は、塩基性マンガンの測定方法と管理濃度の変更点についてご紹介していきたいと思います。
マンガンの測定について
マンガンの測定というと、同時期に溶接ヒュームに関して個人サンプラーを用いてマンガン濃度を測定することが義務付けになり、溶接ヒュームの方が話題性があって注目度が低い印象を受けていますが、マンガンに関する作業環境測定も変わります。
※溶接ヒューム測定についてはこちらのブログを参考にしてください
今までは塩基性マンガンは規制対象外でしたが、神経障害等の健康障害を及ぼすおそれがあることが明らかになったため、特定化学物質第2類物質に加わりました。
以上のことにより、塩基性酸化マンガンも今後は作業環境測定を行う必要があります。
マンガンの管理濃度について
マンガンの管理濃度は今まで0.2mg/㎥でしたが、毒性等の見直し等により0.05mg/㎥(吸入性)となります。
今までは、粒径関係なく空気中の総粉じんを採取して、マンガンの試料を採取していました。
しかし、ACGHI(米国産業衛生専門家会議)とEC欧州委員会科学委員会で粒径別のばく露限界値が勧告され、国内においても粒径等を踏まえた管理濃度の見直しがされました。
その結果、吸入性粒子を測定評価の対象とすることが決められました。
吸入性粒子とは
吸入性粒子とは、肺胞といった呼吸器の深部まで到達する粒子のことで、採取方法は今までと同じろ過捕集法で粉じんの採取を行いますが、分粒装置という粒径を選択して採取できるものを使用して採取します。
分粒装置により、4µmの粒子を50%カットして採取したものを分析することにより、吸入性マンガンの値を求めることができます。
分粒装置を取り付けた採取器
作業環境測定の頻度について
作業環境測定の頻度は今までと同じく、6ヶ月以内ごとに1回定期的に行う必要があります。
報告書の保存期間にも変更はなく、3年保存となっております。
対応方法の追加
今までも規制対象のマンガンを使用していた事業者の方は、測定方法と管理濃度が変更点になりますが、塩基性酸化マンガンを取り扱っている事業者の方は新たに特定化学物質に追加されることにより、上記記載の作業環境測定以外にも
- 発散抑制装置等の設置
- 特定化学物質作業主任者の選任
- マンガンの特殊健康診断の実施
- その他必要な措置(下表)
などを行う必要があります。
その他必要な措置
最後に
今回のブログでは、塩基性マンガンの測定方法と管理濃度の変更点についてご紹介しました。
法改正について分からないところがありましたら、お気軽にお問い合わせください。